ヘリコバクター・ピロリとは
ヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌)という細菌は胃に慢性的に感染します。その結果、萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、鉄欠乏性貧血などを起こすことがわかっています。
ピロリ菌を除菌することでこれらの疾患を予防したり治したりすることができます。
ピロリ菌は主に小児期に水(井戸水など)や食べ物などを介して経口感染します。衛生環境に関連すると言われ、現代の若い方には感染が少ないですが、50歳以上では40%を超えて感染しています。また、感染経路を考慮すると家庭内で感染が広がっている可能性があります。
ピロリ菌の自由診療
ピロリ菌の検査や治療は基本的に保険診療で実施可能です。
しかし、以下のような場合は保険診療で実施できないため、自由診療での対応となります。
- ①上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を行わずに、ピロリ菌検査や除菌治療を受ける時
- 胃カメラはどうしても受けたくないけど、ピロリ菌が心配な時や、家族がピロリ菌感染を指摘された時、若年者など。
- ②除菌治療において保険適応外の抗菌薬レジメを使用する時
- ペニシリン系抗菌薬やクラリスロマイシンにアレルギーがある時、3次除菌以上の時
保険診療でできることとできないことを相談の上、適切に判断しますので、気軽にご相談ください。
費用
診察料
初診料3600円、再診料2000円は別にかかります。
感染の有無を確認するための検査費用
以下の検査を1つ受け、陰性の場合には2つ目を実施することがあります。
尿素呼気試験 |
5,500円
『今』感染しているかどうかの判定ができます。禁煙や絶食、一部の胃薬や抗菌薬の休薬指導の上、実施します。精度の高さも良く、まず第一に検討する検査です。 |
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血液中の抗ピロリ菌抗体検査 |
2,800円
採血するだけですので簡便に調べられ、薬や食事などの影響も受けません。しかし、『今』の感染だけでなく、『過去』の感染でも陽性になるため、評価には注意が必要となります。偽陰性(本当は感染しているのに陰性)の可能性もあります。どうしても胃薬などを止められないなどの事情がある場合に使用するか、他の検査との組み合わせで使用することをお勧めします。 |
便中のピロリ菌抗原検査 |
3,200円
『今』感染しているかどうか判定ができます。胃薬の影響は受けにくいとされていますが、一部の検査キットでは影響を受けることが報告されています。 |
治療費用
使用する薬剤によって費用は変動します。
薬代として8000円程度(7日間内服)
除菌判定費用
除菌治療後4週間以上経ってから実施します。
以下の検査の1つ、もしくは2つを実施して判定します。
尿素呼気試験 |
5,500円
軽度の陽性(2.5-5.0 ‰ )の場合には、偽陽性(本当は菌はいないのに陽性)の可能性があるため、2-3か月後の再検をします。 |
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便中のピロリ菌抗原検査 | 3,200円 |